【マンションリニューアル情報】建設・タイル編

■マンションの大規模修繕工事の目的

マンションの多くは鉄筋コンクリート造(または鉄骨鉄筋コンクリート造)となっており、それぞれ必要な部位に仕上げ材や防水材が施され、躯体コンクリートの保護や室内への漏水を防ぐための処置が施されています。しかし、これらの仕上げ材や防水材は紫外線や風雨に曝されていることが多く、経過年数とともに劣化が進行していきます。また、コンクリート自体も地震等の影響によりひび割れや爆裂(鉄筋が錆びることで発生するコンクリートの押し出し)などの劣化が進行していきます。そこで建物を長く維持管理していくために、建物を調査診断により、劣化状況を把握し、正しい判断により修繕設計をおこない、大規模修繕工事などによる定期的なメンテナンスをおこなっていく必要があります。そのポイントは「安全性の確保」「建物の長寿命化」「美観の向上」となります。大規模修繕工事と合せて、建物を長期的な視野での修繕方針をたてる必要があり、その一環として長期修繕計画の策定も不可欠となります。

■建築関連の劣化と不具合

1.外壁タイルにおける劣化と不具合~タイルの浮き

<タイル浮き>

▼建物調査診断で発見された、外装タイルの浮き。直ぐ下が駐車場出入り口となっている。打診調査結果では、直ぐに剥離へと至ることはないことが確認できたが、その他の箇所でも同様の浮きが確認されたため、大規模修繕工事を計画し補修することとなった。

<広範囲に及ぶタイル浮き>

▼ベランダ手摺壁のタイルに接着不良が原因と考えられる広範囲の膨らみを確認。直ぐ下が駐車場や駐輪場出入り口のため、安全性確保のため緊急措置として大規模修繕工事を待たずに不良タイルを撤去。その後、詳細調査の結果、その他多数の浮きを確認。大規模修繕工事をにて貼り替えや注入工法にて補修を実施。

2.外壁タイルにおける劣化と不具合~タイルの剥離

<タイルの剥離1>

<タイルの剥離2>

▼タイルが剥離して落下寸前の状況。写真左は剥離タイル上部右でも多数の浮きを目視でも確認できた。写真右は、剥離タイル上部に施されたシーリング材の接着力で辛うじて剥離を剥落を回避。早急に大規模修繕工事を実施し、タイル面の全面調査をおこない不良部への貼り替えを実施。

<貼り底に施工されたタイルの剥離>

▼住戸玄関アプローチ入り口の梁底タイルの浮き十分な下地処理がおこなわれていなかったために発生した事例。居住者が毎日出入りする通路となっているため、不良タイルを撤去し、貼り替えを実施。

<コンクリートの被り厚さ不足箇所に施工されたタイルの浮き>

▼コンクリート打設時にコンクリートの被り厚さが不足していたが、そのままタイルを施工したために、経年で鉄筋の発錆によるタイルの浮きが発錆した事例。

※補修の際は、タイルを撤去し、適切な補修材を用いて十分な厚みと確保する必要があるが、それによって、補修箇所のみ下地に段差が生じるため、美観上も問題となる。

<補修方法の選択ミスによるタイルの浮き>

▼補修工事を実施したが、工法の選択ミス や施工不良によりタイルの浮きが改善されていな事例。複層(タイルと接着モルタル、接着モルタルと下地コンクリ-ト)で浮いていたため、補修が不完全であった。

※打診調査で多数のタイルの浮きを発見。詳細調査(注入補修されたタイルを撤去)し確認。タイルとタイル用接着モルタル層、タイル用接着モルタルと下地コンクリート間の複数層での浮きを確認。注入工法では対処不可であると判断し、再度足場を全面に設置し、全て貼り替えにて補修。

<コンクリートのひび割れに沿ったタイルの割れ>

▼下地コンクリートのひび割れに沿ってできたタイル面の割れから、住戸内への漏水原因となるだけでなく、鉄筋の発錆原因となる。

※写真左は窓周りのひび割れから水分が浸入したため、コンクリートの成分が流出(白華現象)した状態。

<補修タイルの色違い1>

<補修タイルの色違い2>

▼修繕時に貼り替えたタイルの色違いによる美観の低下。タイルを貼り替える際には、必ずサンプルを作成し、現地で実際に修繕時と同様の方法で試験的に貼り替え、タイルの柄や色だけでなく目地の色まで十分に確認が必要である。

 

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